哲学書の議論に接するときのコツ

 先日、哲学書の議論の骨格をどのように掴めばよいか(端的に言えば、読めるようになるにはどうすればよいのか)、批判的に読むにはどうすればよいのかについて専修の教員に質問してみました。今日、回答の方を頂けたのでメモとして残しておこうと思います。

議論を整理する方法

 論証というのはいくつかの前提から結論を導き出すということです。論証の流れを掴むためには議論の内容を【前提】と【結論】に分けてリストアップしていくのが有効でしょう。

例(哲学的ゾンビに関して)

【前提】① ゾンビは想像可能である。

    ② 想像可能なものは形而上学的に可能である。

    ③ ゾンビが形而上学的に可能ならば物理主義は誤っている。

【結論】物理主義は誤っている

 面倒くさいですが、自分で手を動かしてメモをとるのが大事でしょう。読書ノートに記入するときには各用語の定義に加えて、上のような論証図を書くと整理しやすいのではないでしょうか。

批判的に読む方法

1.反論を試みる

 読んでいる最中、「そういうものか…」と著者に説得させられてしまい、全く批判的な視点を持てないという場合があるでしょう。批判的に見るためには上記の論証の整理をもとにして、わざと反論をするということが有効です。このとき、【前提】部分に着目するか、(2)【結論】部分に着目するかで2パターンの反論が考えられます。

(1)【前提】に着目する場合 → 前提のいずれかが誤っている

 先程のゾンビの例で言うと、①は素朴すぎるので②や③に注目して反論することができるのではないでしょうか。「想像可能なものは本当に形而上学的に可能か?」「神経科学の発展を想定できるのではないか?」等々。

(2)【結論】に着目する場合 → 前提すべてを認めても、その結論には帰結しない

 ゾンビ論証の結論は前提から形式論理的に導出されていますので、導出という視点で見ると批判は難しいかもしれません。前提から結論への飛躍がある論証については注意する必要があるでしょう。

2.対立する論者が書いた複数の本を読む

 他人の反論を実際に読むことで批判的視点を取り込むというのも有効でしょう。同じトピックで対立する複数の論者を読むと、批判的に見やすくなります。なぜなら、両方の論者に対して納得することはできないからです。

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